読書感想文『バーボン・ストリート・ブルース』高田渡

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こんにちは
だいてんねん(@daitennen5)です。
今回の読書感想文は高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』です!

バーボン・ストリート・ブルース (ちくま文庫)

珍しくミュージシャンの自伝を借りてみました。
表紙からしていい感じです。内容もいい感じです。
感想文書きたいと思います。

それではお付き合いくださーい。


概要

フォークシンガー高田渡の自伝。初版2001年。
40年近く歌い続けてきた伝説のシンガーが記した足跡、思い。

読書感想文

高田渡。伝説のフォークシンガー。

僕が初めて著者の音源を聴いたのは1年ぐらい前です。僕が参加しているバンド我聞のボーカル伊藤修さんからCDを借りたのがきっかけです。そのアルバムは3rdアルバム『ごあいさつ』。もちろん名前は知っていたのでずっと聴いてみたいなと思っていました。期待に胸を膨らませ再生ボタンを押したとき、流れてきたのは気の抜けたような声、か細いギター、そしてとても短い曲。その音はとても生々しく響き、なによりも僕が過ごしてきた時代とは違う別の時代の音でした。言葉一つ一つを置いていくような歌を聴いていると高田渡という人間の器の大きさを感じました。

このアルバムはその後何度も何度も聴いています。今も大好きなアルバムです。

そして先日いつもの図書館に出かけたところ高田渡自伝『バーボン・ストリート・ブルース』がありました。さまざまな逸話を持っているシンガーですので、生い立ちや氏の書く文章は気になります。早速借りて読んでみました。

そこに書かれていたのはまっすぐな思いでした。歌、詩、旅、出会った人々、家族、音楽仲間、酒、そんな氏を形づくるものに対しての思いが意外なほど丁寧に書かれていたのです。

正直僕はミュージシャンやタレントの自伝はあまり読まないですし好きではありません。やっぱりイメージ商売の方々なので本当のことが書いてあると思えないからです。(チャールズ・ミンガスの自伝はすごかった。悪い意味で)

しかし本書からは著者の思想、足跡がユーモア溢れる文章に包まれながらもハッキリと伝わってきます。

個人の考えというのは共感できるものもあればできないものもありますが、著者の文章はこれでもか!というぐらい主義・主張を伝えながらも押し付けがましくなく、読者が「自分はどうだろう?」と考えさせる隙を与えてくれます。この隙がとても心地よいです。

それでは僕が印象に残っているエピソードを書いていこうと思います。

著者が好きな詩に関して書かれている箇所があり、そこには

詩というのは作り手の自己満足ではいけないと思う。それを読んだ人に理解してもらわなければ意味がない。もちろん、どう理解するかは読み手の勝手なのだが。

また歌に関しては

 当時、日本で流行っていたフォークソングは、岡林信康や高石友也に代表されるように、自分の言い分をストレートに表現する反権力の歌、(中略)しかし、僕の歌は、反権力という点で根っこは同じでも、主義主張を正面からぶつけるのではなく、(中略)あたりさわりのないことを歌いながら、皮肉や批判や揶揄などの香辛料をパラパラとふりかけるやり方が好きだったので。

と書かれています。

この2つの思いから著者の詩、歌などの作品に対する姿勢、信念が強固なものでかつ筋が通っているのがわかります。

誰にでも伝わるように独りよがりの歌にならないようにしながらも自分のメッセージを込め、最終的には受け手側の感性に委ねる。このバランス感覚が絶妙なため著者の楽曲は何十年も愛されているのだと思います。

ただ受け手に委ねたことによりデビュー作『自衛隊に入ろう』が著者の意図するところと真逆に捉えられてしまったということは本人も若干責任を感じているようです。はたから見ると面白い話だなと思えるのですが、歌を作った当人からしたらショックは大きかったと思います。しかし歌とはそういうものだと達観した考えはとてもカッコいいです。

他にも共感できるところはたくさんあったのですが挙げるとすれば若者に関しての記述。

よくある最近の若いもんは といういかにもオヤジな始まりなのですが、この当時から著者は近年の音楽産業、音楽に関わる人々に疑問を抱いていたようです。

出版当時と現在ではまた少し事情が異なりますが僕も日頃同じようなことを感じています。

どれを聞いても同じような曲にしか聞こえないのに、次から次へとミリオンセラーが生まれている。(中略)その時代その時代には必ず流行があるものだが、少なくとも昔は個人が自分の色彩感覚を持っていた。それが今の人たちにはない。

この本の出版当時はミリオンヒットが連発していた頃なのでしょう。流行り廃りが激しく嫌気がさしていたようです。

出版当時と比べ現在の音楽産業は消費のスピードがさらに早くなっていると僕は思います。Youtubeなどの動画サイトの台頭によってCDの売り上げは減り続けているようですし、Spotifyなどの定額制サービスもあります。近年はもう曲だけの力によるミリオンヒットはなく、AKB商法に代表される音楽以外の付加価値でしかミリオンヒットなどは出なくなっています。そして僕が強く感じるのは最近ヒットチャートの曲などはいくら商業音楽と言えどもメッセージがなさすぎるような気がします。もちろん音楽は個人の好みなのでそれが悪いとは思いませんが、、、、、いや!悪いな!あまりにもさすがになあと思ってしまいます。

しかしそんな中でもメッセージや熱量が込められた音楽をやるアーティストが認められるようにもなってきたように感じます。この現象は素直に喜べる変化だと思います。オシリペンペンズがNHKの子供向け番組に出演するぐらいなのです。少なくとも僕が学生の頃はそんなことはありえませんでした。

この傾向も動画サイトや定額制サービスの影響があると思います。ヒットチャートよりももっと熱量のこもった音楽を聴きたいリスナーが自身が夢中になれる音楽を調べる環境が以前よりは整ってきたためでしょう。

著者は自身の信念を曲げることなく活動し、その結果多くの人に受け入れられてきました。その信念がときには孤高や頑固者という印象を与えていたように思いますが、そこに惹かれる人々は世代を問わずいて、僕のような世代にも著者の歌は響きこれからも残っていくのでしょう。

それにしても著者の先見性はすごいです。本書に書かれていることもまるで2019年現在を見て書いているようなそんな感覚に陥ります。物事を深く広く鋭く眺めていたのだと思います。

最後に本書で1番心に刺さった言葉を引用したいと思います。

これは持論だから認識を変えることはできない。

日本のシャンソンなんかシャンソンじゃない!という話の時に出てきた言葉です。

ここまで言い切りさらに自分の考えは曲げない!とわざわざ書くこの頑固さ。

(僕だったら「いろんな考えがありますが、、、、」とか当たり障りないことを書いていると思います。)

この言葉を読んだ瞬間ハッとさせられました。

自分の中にある思いや考え、最近それらを出すことに少し臆病になってきてしまっていました。会社勤めもある程度経験したこともありますし、このような不特定多数の方が読んでくれるブログを書いていると、さまざまなことに気を付けなければいけないと考えすぎてしまうこともあります。しかしそんな中でも揺るがない自分自身の信念はあります。

これはどうしようもない、もうどうにもならない、なんと言われようがこれが僕なんだ。そのように思えるものが自分の中にあるなら大切に、そして貫き通す強さを持っていかなければいけないと改めて思いました。

そうしなければ著者の言う「個性のない人間」になっていってしまう。それを僕は現在痛感しているからです。

自分の気持ちに正直に。

言うのは簡単ですがなかなか実現していくことは難しいです。

しかし頑固と言われようがそれを体現し死んでいった高田渡と言うアーティストがいました。この本はそんな高田渡の信念に触れる事ができる素晴らしい本だと思います。

まとめ

アーティストの自伝はなかなか読む機会がなかったのですが本書を読んでみて得るものがたくさんあることに気づきました。今回は高田渡が好きなので借りてみましたが次回は全く知らないタレントの自伝を借りるのも面白いかもしれません。
この『バーボン・ストリート・ブルース』も高田渡のことを知らないもっと若い世代に読んでもらえたらいいなあと思いました。特に音楽をやっている人たちに。
僕は息子が高校生になったら勧めてみようと思います。彼がどんな風に人間・高田渡
を受け止めるか今から楽しみです。
ぜひみなさんも読んでみてください!

バーボン・ストリート・ブルース (ちくま文庫)

バーボン・ストリート・ブルース (ちくま文庫)

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読書のお供に音楽を。

僕はAmazon Musicで音楽を聴いています。

高田渡のアルバムも少ないですがあります。

曲を聴きながら本書を読むのも面白そう!

まだお試しでない方はぜひ。30日間無料お試しありますよ!